
チベット亡命から半世紀。
世界中へと広がったチベット仏教は、受難のさなかにあっても、
心においては慈悲、行動においては非暴力の精神を貫き、
仏法のいきいきとした姿を私たちの前にあらわしています。
一方、チベット内では、弾圧の嵐吹き荒れ、「信仰の自由を!」
と小さな声をあげただけで、百万人以上の人びとのいのちが
奪われました。チベット人としてのアイデンテティは、いま
かつてないほど大きな中国化の津波にのまれ、人類共有の
宝である地球上のひとつの文化が消えゆこうとしています。
ヒマラヤの峰峰に、ふたたび祈りの声が響き、チベットの
大地に遊牧の民の平和な日常が戻り、チベットが仏教とともに
生き残ることがなければ、世界の屋根のバランスは崩れ、
その影響は地球全体に及ぶことになるでしょう。
チベットが生き残るということは、
物質文明と精神文化、現代科学と古代の智慧が
調和して存在するためにも、大きな意味をもつのです。
ダライ・ラマは1988年のダラムサラでのインタビュ-で
「非暴力による実践は、地球上のひとつの実験だ。これが
成功すれば、よいモデルとなるだろう。ヒマラヤ全域が
平和になれば地球全体によい影響をもたらすだろう」
と語られました。
大きな視野に立って、地球全体の平和を願うこの大乗仏教
の精神が、その源を同じくする日本のお寺から発信されること
を強く願い、キャンドルナイト@TERRAを呼びかけました。
ちなみに、寺とも音が重なる「TERRA」はラテン語で「地球」
という意味が含まれています。
チベットの精神文化は仏教であり、若い人たちの間に仏教への
関心が広がってゆくためにもお寺でこの集いをもつことが
ふさわしいと思えるのです。それぞれの地域で呼びかけて
いただければ、日本の仏教界にも、現代社会にも、あたらしい
風が起きることとなるでしょう。
チベットで亡くなった方々への追悼の気持ちと平和への願いをこめた
キャンドルの灯は、2008年3月以降、静かにゆらめき広がっています。
キャンドルナイト@TERRAをきっかけとして、平和を求める人びとの
エネルギ-が、各地のお寺で灯りつづけ、慈しみのメッセ-ジとなり、
争いをなくしてゆくことにつながることを祈ります。
憎しみや批難ではなく、思いやりや寛容、苦しむ人への共感という
人間本来のよき資質を開き育ててゆくことが、未来を開いてゆくのだ、
といういうことを、私たちは祈りを通して実践してゆきたい、と思います。
祈りは、自らの心にも平安をもたらし、そこから、世界の平和も
育っていくのですから。
梅野 泉
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